輪郭制御を向上させるには!?② 【モーションコントローラ】
テクノの野崎です。
前回は輪郭制御において「円弧の縮小」と「円弧のひずみ」による軌跡誤差をお話ししました。今回はその軌跡誤差の改善案をご紹介します。
●円弧の縮小を改善
①機構の剛性を高める
前回、位置ループゲインKp(サーボ系の応答)を高くすることで円弧縮小を
軽減できることを近似式からお話ししました。
これには機構の剛性を高めることが必要です。
機構の剛性はこのようなことで高めることができます。
・バックラッシュなどの不感帯をなくす
・機構のたわみやバネ要素を小さくする
・慣性や重量を小さくする
・摩擦などの外乱を小さくする
②補間加減速の時定数を小さくする
補間加減速も位置ループゲイン(Kp)と同様の仕組みで円弧の縮小を
発生させます。補間加減速の時定数(s)=1/ゲイン(r/s)の式となるためです。
つまり、補間加減速の時定数を小さくすることで円弧の縮小を
改善できます。
軌跡精度を良くしたい場合、以下の順番で補間加減速の時定数を
最小にしてください。
1、補間時定数=0msec
2、直線型補間加減速
3、指数型補間加減速
※同じ時定数でも直線型の場合、指数型補間加減速と比べて
軌跡の内回りへの影響が小さいです。
③補間前加減速(自動コーナーオーバーライド)※オプション機能※
補間の連続での速度変化(加速度)の度合いに応じて、自動的に最適な減速/加速をします。
速度変化が小さなコーナーでは減速しません。
④形状補正※オプション機能※
サーボ系の遅れを補償した指令をします。フィードフォワード制御に似た機能です。
これら①~④を実施した場合の効果を右図に示しています。
上図の「円弧縮小が大」では理想の円弧(ピンク線)と比べ実践(青線)が内側に縮小していることが分かります。
しかし、下図では①~④を実施したため、実践(青線)が理想の円弧(ピンク線)と同等であることが分かります。
なお、これらの計測はテクノのモーションコントローラのTPCロギングと解析ソフトにより計測しています。
●円弧のひずみを改善
①位置ループゲインのバランス
多軸軌跡制御では、各軸の位置ループゲインが一致していることが重要です。
各軸の位置ループゲインが異なると非常に大きな軌跡誤差が生じます。
また、位置ループゲインを限界以上にすると発振などの異常動作となるため
各軸の位置ループゲインの最小値に合わせることになります。
新年のご挨拶
新年のご挨拶
新年、あけましておめでとうございます。
昨年は皆様より多大なるご支援をいただき、誠にありがとうございました。
本年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。
昨年はテクノにとって、大きな節目を迎えました。
MECHATROLINKとEtherCATに対応したモーションコントローラ"PCベースファインモーション"と"PCベースモーションライブラリ"のご提供を始めました。
"PCベースファインモーション"は、大手ユーザ様の新生産技術の研究用プラットフォームとしてご活用頂いております。今後の展開が楽しみです。
"PCベースモーションライブラリ"は、テクノにとって新しい市場へのチャレンジです。半導体製造や多軸位置決めの市場においてご活用頂けると考えております。海外のお客様も含め、引き合いを頂いており、こちらも今後の展開が楽しみです。
MECHATROLINKとEtherCATに対応することで、お客様のサーボ選択の自由度が広がりました。
テクノとしては今まで以上にサーボメーカ各社との連携が重要と考えております。
引き続きお客様のベストな提案が出来るよう尽力して参ります。
また、PLCモーションは根強いニーズがあり、ワンボード型や組込型のコントローラも新規・既存のお客様よりご注文を頂いております。
昨年は「ロボット」、「巻線機」、「射出制御」、「テンション制御のような力やトルクの制御」など、幅広い分野にてご利用頂き誠にありがとうございました。
国内の生産設備は全体的に縮小しているかもしれません。そのような中で、テクノは低価格のみの装置が勝ち残るのではなく、高度で独自性、つまりいかに差別化を図り、いかに高付加価値のある装置を提供できるかが重要なテーマと考えております。
モーションコントローラの分野においてこのような生産設備のお手伝いが出来るよう、精進して参ります。
2014年1月9日
株式会社 テクノ
代表取締役 山中 守
輪郭制御を向上させるには!?① 【モーションコントローラ】
テクノの野崎です。
最初のテーマは「輪郭制御」についてです。
レーザ加工、高精度搬送、塗布、カッティング、精密実装など様々な分野で高精度な輪郭制御が必要となります。
ところが、高速でコーナーを回ると、円弧の縮小や円弧のひずみにより軌跡誤差が発生してしまいます。
これでは、カッティングしたワークの形状がいびつになったり、目標物に塗布が出来なかったりと、思い通りの成果がだせません。
本テーマでは「円弧の縮小」や「円弧のひずみ」はなぜ起こるのかをお話した後に、これらの改善案を複数回に分けてご紹介していきます。
●円弧の縮小とは
円弧の縮小とは、コーナーを回る時に理想の軌跡よりも内回りすることを指しています。
右上の絵「円弧の縮小」から真円の軌跡に対して内回りとなっていることが分かります。
特に加工の分野においては、この円弧の縮小を改善できるかが大きなテーマと言えます。
円弧縮小の近似式は以下の式になります。
ΔR=0.5×F^2/(Kp^2×R)
R:半径 F:送り速度 Kp:位置ループゲイン(r/s)
つまり、F(送り速度)を遅く(小さい値)するか、Kp(位置ループゲイン)を大きくすることで円弧の縮小 R を小さくすることができます。
●円弧のひずみとは
円弧のひずみとは例えば、円を描く動きをさせようとした際に、45度傾いて楕円のような軌跡になることを指します。
右上の絵「円弧のひずみ」がそうです。
これは位置ループゲインが各軸(右上の絵の場合、X軸とY軸)異なる場合、発生します。
次回は円弧の縮小や円弧のひずみの改善策をご紹介します。
技術コラムについて
はじめまして。
テクノの野崎です。
2013年10月31日にテクノのHPをリニューアルしてから2ヶ月近くたってコラムを書く次第となったこと、まずは申し訳ありません。
本コラムではモーションに関わる"いろいろなこと"を記載していきたいと考えています。
"いろいろなこと"とは?と疑問に思われるかもしれませんが、「そんなこと知ってるよ!」といった内容から「へー、そうなんだ!」と思って頂けるような内容まで幅広く掲載出来ればいいな、と考えています。
ゆくゆくはお客様から「○○○って何?」、「△△△ってどういうこと?」など実際にお聞きした内容を記載できればうれしいです。
本コラムの内容だけでなくHPの内容などについて疑問点やご不明点があればお気軽にお問い合わせください。
それでは、今後とも宜しくお願いします。
テクノ年末年始休暇のご案内
テクノ年末年始休暇のご案内
2013年12月19日
株式会社テクノ
拝啓 時下益々ご清栄のこととお慶び申し上げます。平素は格別のお引立てを賜り、厚く御礼申し上げます。
誠に勝手ながら、年末年始の休業のため、下記期間におけるお問合せ対応及び発送業務をお休みさせていただきます。
何卒ご了承くださいますようお願い申し上げます。
■年末年始休業期間■
2014年12月28日(土) ~2014年1月5日(日)
■お問合せ・発送業務対応について■
お休み期間中にいただいたお問合せ・発送業務依頼は、
2014年1月6日(月)より順次ご対応させていただきます。
回答までにお時間をいただく場合がございますが、予めご了承下さい。
来年も、本年同様お客様にご満足いただける製品とサービスの提供を目指し、社員一同より一層努力して参ります。今後共、変わらぬご愛顧の程、宜しくお願い申し上げます。
敬具